私が実践している3つの生活習慣のひとつめ「血圧測定」

血圧測定を欠かさない

血圧は、何のために測定するのでしょうか?

私の知っている尊敬する先輩の保健師さんは毎朝血圧を計り、スマホに記録しています。彼女は、降圧剤を飲んでいるわけではありません。血圧が上がりやすい冬場でも、血圧は上が120~125mmHGくらい。けっして高くはありませんし、変動も少ないのです。

体血圧、血糖値、体温、血液検査も含めて数値化できるものはすべてですが、変動が少ないほうが体にはストレスがかかりません。

この保健師さんが、以前、一時的な意識喪失の発作を起こして、救急車大病院に運ばれました。その入院中、彼女は、担当の脳神経外科の先生に自分の血圧記録(スマホに記録したアプリ)を差し出したそうです。

主治医は驚いて、「あなたは血圧が高いわけでもないのに、なぜ毎日血圧を計っているのですか」と尋ねたそうです。保健師さんは、答えました。「予防のためです」

医師と保健師の仕事、あるいはその立場の違いがはっきり出たやりとりでした。一般的に血圧は、血圧が高い人が計るものと思われがちです。「病気を治す」という立場で考えれば、病気の人が血圧や体重を計るのでしょう。

しかし現代医療は治療よりも予防が大切です。病気ではなくても、誰でも血圧を計るのです。血圧測定の習慣は、健康管理のスタートラインでもあるのです。自分の血圧がどのくらいか知らない人のほうが多いのは異常です。

血圧測定をする理由

私は、「血圧が高いかもしれない」、あるいは「健診で血圧が高めだった」という人に、2週間、早朝血圧を計って記録をつけてもらいます。するとそれだけで、何も薬を飲まないのに面白いくらい血圧が下がっていきます。そういう例を、これまで何度も見てきました。

なぜ、血圧を計るだけで血圧が下がるのでしょうか。あなたが朝起きて排尿のあとの血圧を計ったら、上の血圧が150mHGもあったとします。まず、あなたはこう思います。

「血圧計が壊れているかもしれない? 」当然、壊れてなんかいません。そこであなたは、血圧をもう1回計ると思います。すると、今度は145mHG。「この血圧計、おかしいな?。電池を替えてみるか」

もちろん、電池を替えても同じです。電池を替えて、もう1回、測定しました。140mHG。「やっぱり。まだ高い」こんな日、あなたはいつものように、朝ご飯の時におかずにジャバジャバ醤油をかけるでしょうか?ジャバジャバ、ソースをかけるでしょうか?

ちょっと待てよ」と思ってしまうのが、人情というものでしょう。自分が病気だとは思いたくない。でも血圧が高く出た。たぶん何かわけがあるはずだ。心の中に、少し葛藤が生まれます。

そしていろいろ悩んだあげく、ご自分の血圧が高いことを少しずつ認め始めます。すると、一時的にでも塩分を減らしてみたりするものです。

塩分を減らす方法はこちらです。

血圧の正しい測定方法

いつ測定するか?
起床後、トイレをすませてから。

みなさんは血圧を計るとしたら、いつ計るでしょうか。

世の中には、この血圧というテーマを真剣に研究している人たちがいて、どの時点で血圧を計ると、その人の危険をよりよく反映するかという研究がとても詳しく進んでいます。結論から言いますと、人の危険をいちばん反映するのは、ABPM (1日24時間の平均血圧) です。ABPMというのは5~30分間隔で24時間血圧を計り、1日の血圧のパターンを調べることです。

小さな12cm角くらいの血圧計を胴に巻き、腕に血圧計のカフを巻いて、起きているときも寝ているときも、1日中血圧を計ります。この1日中計る血圧の平均が高ければ高いほど、心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすいことがわかっています。

かし、こんな面倒な方法はなかなかできません。このABPMの次に危険をよく反映するのが、「早朝血圧」です。朝起きて、おしっこのあとに計る血圧です。

朝起きておしっこしたあとの上の血圧が135mHgを超える人は、超えていない人より、2.86倍事故が起こりやすいということでした。事故とは、おもに脳卒中です。

2.86倍というのはものすごい数字ですが、ここに1つ落とし穴があります。あなたが、血圧が高くて病院でお薬をもらっているとします。朝起きてお薬を飲んで、病院で計った血圧は120mHg程度。何の問題もないすばらしい血圧ですが、血圧は、教えてくれているのです。

そういう人でも、もし朝の上の血圧を計ってみて135mHgを超えるようなら、薬の使い方にまだ改善の余地があるかもしれませんと。

私の母は、日中の血圧が120mHgを超えたことがない人でした。ところが、くも膜下出血で突然倒れました。

病院、診療所、健診、測定会など、自宅以外で計る血圧はほとんど日中の血圧です。しかし日中の血圧は、あまり危険を反映していないと思われます

「朝起きて、おしっこのあと」。これが、血圧を計る時間帯です。この時間帯は、脳卒中で倒れる人がいちばん多い時間帯です。この時間帯の血圧が正常に保たれているかどうかが、とても重要なのです。

ライフスタイルによっては、朝起きる時間がばらばらだったり、その日その日で起きる時間帯が異なる人もいるでしょう。時間がバラバラでもいいのです。朝起きて、おしっこのあとならいつでもいいのです。

どんな血圧計で計るか?については、上腕で計れるものを選びましょう。

「上腕式血圧計」というのはこういった形のものです。

ひと口に血圧計といっても、たくさんの種類があります。昔からある水銀血圧計。研修医時代は、手術場でもこれが主流でした。片耳に聴診器をさして、5分間に1 回、スコスコと血圧を計ります。コロトコフ法という、血管雑音を聴くことで上の血圧、下の血圧を計りますが、これで自分の血圧を計るのは、けっこう大変です。近頃はこの血圧計はあまり見なくなりました。

次に手術場でよく使ったのは、通称Aラインといわれる血圧計です。手首にあるとう骨動脈というところに針を刺して、動脈内の血圧を1拍1拍計ります。動脈圧波形という彼の出方を観察することで、多くの情報が得られます。

この血圧計は、心臓や肺など、ダイナミックに血圧が変わる手術や、大量の出血が予想される手術、あるいは長時間に及ぶことが予想される手術で使います。この血圧計を経験したことがある人は、ある程度大きな病気でご苦労された人といえるでしょう。

さて、いま最も一般的なのは、「オシロメトリック式血圧計」です。これは、腕や指にカフを巻いて、一定の圧力をかけて計るもの。腕や指に圧力をかけると、その中の血管がふくらんだり縮んだりします。その容積の変化を表す容積脈庄波形をとらえて庄を計ります。値段も1万円を超えないものがたくさん出てきました。

このオシロメトリック血圧計、計る場所によって3つのタイプがあります。代表的なものは、上腕で計るタイプ。これはどこのメーカーのものでも非常に安定した数値が出るので、いちばんおすすめの血圧計です。

欠点らしい欠点といえば、厚い衣服の上から計るとバラツキが大きくなることです。血圧計メーカーの開発部が研究データを出していますが、やはり分厚い衣服の上から計ると、正確な数値は出にくくなるようです。

冬の寒い朝、シャツ1枚になって血圧を計るのはいやなものですが、この欠点をのぞけば、最もスタンダードで信頼性が高いのはこの血圧計だと思います。

指、または手首で計るオシロメトリック法による血圧計もあります。結論から言うと、これらは誤差が大きく、数値が高めに出てしまいます。

日本高血圧学会では、血圧測定の大前提として、上腕での測定を推奨しています。安くてもよいので上腕で計る血圧計を使用するのがベストだと考えています。指や手首で計る血圧計を持っている人は、出張先や旅先でそれを使う分にはかまいませんが、自宅ではなるべく上腕の血圧を計っていただいています。

年齢が進むにしたがい、体の端々の血流が乏しくなる傾向があります。ご自分の健康の基礎データですから、なるべく信憑性の高いデータを蓄積するのが望ましいでしょう。

血圧計をどこに置くか?これは、生活の動線上に置きましょう。

毎朝、血圧を計る。これを続けるには少しコツが必要です。新しい血圧計を買ったら、まず、箱や袋を捨ててください。几帳面な女性に多いのですが、血圧計を内袋にしまい、さらに化粧袋に入れ、とどめに買ったときの箱に入れて大事に戸棚にしまっている人を見かけます。これでは毎朝計るのが億劫になってしまいますし、ほかの家族の目にも触れません。

朝の血圧測定を習慣にするには、いつでも血圧を計れる状態にしておくこと。それには、血圧計が生活の動線上にあることが大事です。動線というのは、人が家の中をどんな具合に動いているかという線です。

できればソファーテーブルの上に無造作にボンと置く。そうすると、本当に気軽に計れます。夜ナイター中継を観ていても、サッカーを観ていても、ひいきのチームが負けそっになったら、計ってみてください。ストレスがいかに体に悪いか、実感できると思います。このとき、血圧は上がっていても、あなたの体は何ともありません。何ともないのに血圧は上がっているのです。これは血圧計がおかしいのではありません。血圧計は、危険を知らせる機械です。自分が何ともないと感じていても、「本当は少し違うよ」ということを愚直に教えているのです。

何回計るか?計ったものはすべて記録しましょう。最近の血圧計は、データが蓄積できる機能を搭載しているものがほとんどです。スマホのアプリなどでもデータを簡単に蓄積できます。ノートに手書きで書き込むのもOKです。

血圧測定が習慣化してくると、誰でも1度は経験することがあります。1回目の血圧が高めに出て、何度も計り直すこと。そこでみなさんにお聞きします。血圧をノートに記録するとしたら、どの血圧を記録しますか。

いろいろな人がいます。このなかで、どの血圧が健康を維持するうえで有用でしょうか。日本高血圧学会でもさまざまな議論がありますが、はっきりしていることは日本での血圧に関する研究は、いまのところ多くは1回目の血圧で評価していることです。疫学調査などでは、この基準がまちまちだと、出てきた結果を同じ土俵で比べることができません。

たとえば、朝の血圧を記録して、地域で比較しようとする研究があるとします。A大学では、必ず1回目を記録してくださいと言います(A研究)。B大学では、何回か計っていちばん低いものを書いてくださいと言います(B 研究)。C大学では、何回か計って平均的なものを書いてくださいと言います(C 研究)。

この3つの大学が行ったA 、B、C の3つの研究で、B研究の結果がいちばん血圧が低かったので、B地域の人たちがいちばん血圧が低いと結論づけてよいものでしょうか。

特に組織に属さずに臨床研究に協力している立場から見ると、たくさんの施設のデータが同じ基準のうえで計られているほうがありがたい。そしてこの理由から、日本で行われる血圧に関する研究は、多くが1回目の血圧をよりどころとしています。

しかし昔から、1回目の血圧には疑問が多いことも事実です。1回目の血圧はストレスなどさまざまな影響を受けやすいので、本当の血圧ではないという意見もあります。実際、1回目と3回目では、20mHgも血圧が下がる人も見受けられます。

血圧をいつ計るかの項で、血圧のリスクをいちばん反映するのがABPM、次いで早朝血圧という説明をしました。5~30分おきに計るABPMの血圧は、高いからといって計り直したりしません。そして、そんなに多くない私の臨床経験からも、血管がよい状態で柔軟な人は、ほとんど、1回目からよい血圧値が出ます。

このようなときにつくづく思うのは、「健康」とは「言い訳をしなくてよい」ということです。

かつて私の患者でもあった高齢のご夫婦は、12月になるときまって血圧が上がりました。降圧剤の増量はどうしても避けたい強い気持ちをお持ちのご夫婦でした。理由はこちらです。
こちらで紹介されているとおり、降圧剤がうつ病を誘発する可能性があるのです。これをご夫婦はとても懸念されていたのです。ご両親がうつ病でとても大変な目にあわれたご経験があるとのことでした。

困った私は、なかば冗談で「ハワイに移住されたらいかがですか」と申し上げました。このご夫婦は、青壮年期をベトナムで過ごしていた過去があったこともあってか、次の年に本当にベトナムに移住してしまいました。

しばらくの間はベトナムからご夫婦の毎朝の血圧の記録が送られてきましたが、冬になっても本当に血圧は上がりませんでした。

ところが、みんながみんな、こんなことができるわけではありません。親父が酒飲んでうるさかったり、孫が遊びに来て夜遅くまで寝られなかったり、仕事のストレスがたまっていたり、1人1人みなさん、何らかのストレスを抱えています。だからといって、「ストレスがあるのだから血圧が高いのはしかたがない」というわけにはいかないのです。神さまは、平等です。高いほうの血圧から、順番に白羽の央が立つのです。

血圧に興味を持っている医師は、血圧のノートからいろいろな情報を読み取ります。たとえば、毎日の血圧が上がったり下がったり一定しないとか、3 回計ったら、3 回大1 90きく血圧が変わるとか、さまざまです。どれもその人の血管がストレスが多いことを示しており、いつもよい血圧の人と、平均するとよい血圧という人では、明らかに将来のリスクが異なることもわかっています。

では、何回計ればよいのか。これまでの経験から言えることは、「何回計ってもよいので、計ったら全部記録してください」ということです。

ちなみに私は医療者ですからあまり大きな声で申し上げられないのですが、こういう仕事をしていると「先生!これは効くぜ!」といって診察室にその健康食品を持ってきてくれる方がいます。

発酵黒豆エキスが一番効果が高いように思います。中の成分などを分析すると医学では完全に解明できない部分も多いのですが、いわゆるプラシーボ効果というのは下手をすると医師不要になってしまうのでは?と思ってしまいます。

中心血圧とは

おまけの話ですが、同じ血圧でも中心血圧という特殊な血圧があります。厳密に血圧を知ろうとすると、体に針を刺して、それを通じて血管の中にカテーテルを入れ、血管にかかる庄を直接計らなければなりません。しかし近頃では、腕の血圧と腕の血管の脈披から、この中心血圧を推定することができるようになりました。

では、普通の血圧と中心血圧は何が違うのでしょうか。中心血圧は同じ血圧でも、心臓から出てすぐの大きな動脈で計った血圧です。この部分の血圧は、心臓にかかる負担や、大動脈にかかるストレスを表しています。

私はこの血圧をすべての患者さんで計っていますが、興味深いことに、薬を処方される前の高血圧症の患者さんは、腕で計る血圧が高いだけでなく、この中心血圧もとても高いことが多いのです。

ところが、多くの場合、高血圧の薬を飲み始めると、この中心血圧は腕の血圧より低くなつていきます。しかし一日でも薬がとぎれたりすると、中心血圧は再び顕著に上昇します。薬の効果を、心底実感するときでもあります。それにしても、つくづく薬はよく効いているのだなーと、薬のありがたさを思い知ります。

糖尿病これが効いた

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